疎開先との交流から生まれた願い

《vol.6》 由利本荘市教育委員会編『集団疎開 東京女高師高女・秋田大蔵寺隊の記録』(無明舎出版)より3編

2015年4月、秋田県由利本荘市石沢地区で、「疎開70年」記念碑の除幕が行われました。
除幕に集まったのは80代の女性たち。みな、1945年の終戦前後、この石沢地区に疎開していた東京女子高等師範学校付属高等女学校、現在のお茶の水女子大学付属高等学校の生徒でした。 その中には時の首相、鈴木貫太郎を祖父に持つ音楽評論家、鈴木道子さん(83歳)の姿もありました。

彼女たち有志は戦後もたびたび彼の地を訪れていました。そして、戦後50年の節目となった1995年、世話になった住民に恩返しをしようと、「石沢へ桜を贈る会」を結成し、桜の苗木を贈りました。由利本荘市はこれを受け、平和を祈念する「絆の茂里」を整備しました。

こうした元生徒と住民との交流が、今回の記念碑建立につながったのです。
本書には、彼女たちの疎開先での生活ぶりや心情がつづられています。特に、献身的に世話をしてくれた住民や生活の場となった大蔵寺の住職に対する感謝の念にあふれています。
一般的な学童疎開に比べると、たぐいまれな恵まれた環境だったと言えるでしょう。しかし、そんな彼女たちも戦時下にいることが本書の随所に読み取れるのです。

お聴きいただく箇所の1つに、堀切春江さんの「からっぽの鐘つき堂」があります。そこには、鐘つき堂の鐘が「お国のために出征された」、つまり武器の製造に必要な金属が不足してきたため、鐘が供出された、といったことが書かれています。

それでは『集団疎開 東京女高師高女・秋田大蔵寺隊の記録』より、堀切春江さんの「からっぽの鐘つき堂」、山田斐子さんの「激励された母の手紙」、そして鈴木道子さんの詩を朗読いたします。 朗読は、立教大学YMCAの加藤萌子さんです。

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